一本桜に魅せられて‥。
〈杵原学校/枝垂れ桜〉
推定樹齢およそ80年
4月3日日曜日
その日は、朝からドンヨリとした空模様・・。
折角の日曜日なのに、この天気では
[ウキウキ][ワクワク]と云う気分では無かろうに、
山木どら衛門は、そんな時こそ雅(みやび)やら、
風情やらを、求めに放浪する癖がある。
「ドヒャッ」とあっぱれなお天気のもと、
ゆらりゆらりと春風にそよぐ、咲始めの桜を
愛でるのが通説だけれども、
この催花雨をシットリ浴びた桜の花面を
目の当たりにすると、色々な過去、現在と感情が
織り重なり、その場にしばらく佇んで桜と同化
してしまう錯覚に陥る。
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毎年この時期になると、[ウズウズ]してくるのが、
お決まりの[一本桜]である。
昨年も、長姫神社の[安富桜]であったり、
飯田市松尾毛賀の[くよとの桜]であったりと、
いくつもいくつも、一本桜を求めて徘徊するの
だけれども、今年は飯田市山本、杵原学校に
宿根してる[枝垂れ桜]に会いに向かった。
旧山本中学校の校舎がそのまま、
有形文化財として、保存されている。
その校舎をそっと見守るかのような樹勢の
この枝垂れ桜は、推定樹齢およそ80年と比較的
若い。しかし、樹高15メートルと大きな存在で
幹からアーチ状に放射している枝からは、
それはそれは、愛くるしいツボミが
桃色の髪飾りの様な印象となっている。
開花の表現では、、、[チラホラ]かな。
今日の花寒い陽気では、[シュン]と縮こまって
いたけれども、近い将来に訪れる満開期の
[門出の日]に向けて、今日は休養の雨と
なったのだろうか?
催花雨のしずくしたたる
しだれの桜
卯月手を引き学び舎に送る
新しいことはじめ。
期待と、不安と、それ以上の覚悟。
何が起きようとも、何が立ちはだかろうとも、
やり切る覚悟。守り抜く覚悟。
80年間約束を守っている、この桜に倣い、
健気に、一途に。
毎年、必ず安心してこの時期を迎えることの尊さ。
明日は、もっと花開く。
[おしまい]